いい日もわるい日も、幸せな一日だ

ワンランク上のおっさんをめざす、アラサーコピーライターの日記

男と女、経年による立場逆転現象

「女には賞味期限があるから」。

結婚や出産に焦るアラサー女子からよく聞く言葉だ。

たしかに女性は出産というものがあり、

それを将来経験する道を選びたいとなれば、

時間は有限であることは曲げられない事実としてある。

 

そんな女性から同世代の男性に向けて放たれるのは、

「いいよね男は、年とってからも若い子とつきあえるし」とか

「男は30からでしょ!だんだん渋みが出てくるし」とか

「仕事をバリバリこなせる30代、40代の方がかっこいい」といった、

ある種、男性をうらやむ、というかやっかむようなセリフだ。

 

これらのセリフを汲んだ上で考えるなら

確かに男と女の「得度」で考えたら

「男」に少し分があるのかなと思ったりもするが、

いや、ちょっとまてよ…。

20代、30代、40代のその年代で鑑みるのであれば、

たしかに男の方が、現在の社会的な仕組みからしても得がありそうなものだが、

もっとロングスパンで考えてみるとそうではないことに気づかされる。

 

なぜなら、そもそも、男と女の平均寿命では圧倒的に女性の方が

長生きであることからもわかるように、

「女性」は年をとればとるほど、生き方が上手になり、人生を謳歌できるように

なるのではないか。すなわち人生を開き直って捉えることができるようになるのだ。

(公共機関やお店でのおばちゃんの図々しさ。クレーマーのおばちゃんの比率。)

 

それに比べて年をとればとるほど哀れになってくる「男」といったら、もう。

見るも無惨なものだ。

本当に生き方がヘタで、仕事にかまけていたばかりに、

定年後の人生、なにをしていいかわからない。家にいれば家族に邪魔者扱い。

無理にはじめた趣味は、楽しもうという努力自体がもうストレス。

おまけに、熟年離婚でもされたものなら、早死にするという統計も

出ているとか出ていないとか。

 

つまり、人生トータルで考えたときの男と女の「得度」でいったら、

結果的に、女の方があっとう的に得だし、人生を心から楽しめる期間も

長いというわけだ。

ああ、なんということだ、男に生まれてよかったなんて一度でも思ったのが

バカだった……。

女性を大事にして、女性から大事にしてもらえるようにしなければ。

いやらしいデザイナーの性

ぼくの知り合いにとてもいやらしいデザイナーがいる。

40代男性、バツイチ、子持ち。

彼はとてもいやらしい人だ。まさに男の中の男。

風俗店やキャバクラには興味がない類いで、

リアルな場で女性と出会いハントを楽しむまさに

「現場主義のデザイナー」。

ストーリーのあるエロスが彼の生きるテーマだ。

 

ある飲み会での出来事。彼の真骨頂を目の当たりにした。

メンバーは、会社の20代女性社員(デザイナー:以下Y子)と

僕とそのいやらしいデザイナー。

 

みんなお酒もまわり、宴も酣(たけなわ)の頃、

そのいやらしいデザイナーがY子に聞く。

「パンツ何色なの?」

 

きた!これは完全にセクハラレベル。今のご時世、訴えられてもおかしくない。

が、しかし、彼に嫌味はまったくない。いやらしさは全開なのだが…。

 

 

「水色です」とY子もノリノリで答える。この子もいささか変わった子なので

会話が成立してしまう。「水色がすきなんですよねー」。

「フリフリのフリルがついてるんですけど、ぶりぶりって感じじゃなくてー」と、

会話をかぶせて盛り上がる。

 

これはイケるとおもったいやらしいデザイナーは、

よりパンツのディテールを頭の中に映像化するために

眼光鋭くして質問を投げかける。

 

「シアンいくつ!?!?!?」

 

 

「40パーセントくらいです」とY子。

 

 

「むーー!見たい!!」「唱えまして、乗算!!!!」

 

 

 

見たい!といいつつ、

決して見せてとは言わないことに彼のクリエイティブ魂を

感じずにはいられなかった夜。

 

お酒は進みに進んだが、Y子をお持ち帰りすることもなく、

いやらしいデザイナーは終電間際で井の頭線に飛び乗った。

そう、彼女の家に転がりこむために。

 

彼のエロティカルでクリエイティブな現場をまた目撃したいものだ。

 

 

 

 

 

自己啓発本を読みあさって気づいたこと

大学を卒業してから26、27歳の頃までのこと。一日も早く何者かになりたくて、

成功した人物の本や、自己啓発本を読みあさっていた。

一度地位や名声を得た人の人生論、仕事観は、やはり刺激を受けるもので、

一冊を読み終えるたびに興奮し、自分も「やってやるぞ!」という

気にさせられたものだ。

しかし、ある時気がついた。散々、色々な自己啓発本を読んでいるけど、

自分自身はなにひとつ変わっていないではないかと…。

 

twitterご意見番で知られる@May_Romaこと谷本真由美氏は、

「キャリアポルノは人生の無駄だ」という本を以前発売した。

具体的な内容は覚えていないが、自己啓発本の類いを

“キャリアポルノ”と定義し、読んで興奮しそこで満足してしまって

具体的なアクションをおこさない現代日本人の多さを訴えた。

 

これはなにも自己啓発本に限った話ではない、

情熱大陸」や「プロフェッショナル仕事の流儀」などの

一流の人の仕事を見せるドキュメンタリーや、

著名な人物や会社の「講演会」も同じだと思う。

 

 

そう、触発はされるけど行動に移さない。これが大きな問題。

 

誰かが華やかなスポットを浴びていたら、その陰の努力を想像すること。

うらやむので妬むのでもなく、自分のペースで毎日コツコツと努力を

積み重ねること。

いろんな人がいろんなことを書くけれど、それを鵜呑みにせずに、

「自分なりに考えて、努力し行動する」。結局それしかないのだ。

それに気づいてからは自分自身すこし楽な気持ちになれた。

さあ、やろう。just do it.

 

『漫勉』をみた。「好き」の強さを思い知った。

 

NHK Eテレの「漫勉」を観た。昨年秋口に放送されていたものだ。

漫画家「浦沢直樹」が、第一線で活躍している同業のもとを訪ね、

創作秘話や、漫画を描くときのこだわり、漫画家のバックボーンを

対談形式で引き出していくという趣旨のもの。

 

登場ゲストは、東村アキコや、浅野いにおさいとうたかをなど

そうそうたる顔ぶれで、漫画に明るくない自分でも、彼ら彼女らの

創作現場を垣間みられたのは、創作者の端くれとしては、もう生唾もの。

 

対談の中で、同業だからわかるポイントを浦沢氏がズバズバ突っ込んで

質問していたのも興味深かった。浅野いにおの回では、背景は水木しげる

に影響を受けてるでしょ?とか、東村アキコの回では、人物の描き方は、

横山光輝をめざしてるでしょ?などなど、その質問どれもが的を得ていて

質問された側も驚くほど。

 

はやく次のシリーズも観たいこの番組ですが、

いままで登場した漫画家すべてと浦沢直樹に共通していることを見つけた。

それは、「漫画が好きで好きで仕方がない」ということ。

漫画家なんだから、漫画が好きなのは当たり前と思うかもしれない。

でもそれは違うと思う。商売として、お金を稼ぐ手段として割り切って、

苦しくても辛くても我慢して漫画を描いている漫画家は、

山のようにいると思うのだ。

むしろそっちの方が多いのではないかとすら思う。

 

しかし、第一線で活躍している人は違っていた。

 

思い通りの線が描けないことも、ネームが思いつかないことも、

締め切りや連載の量に追われて時間がないことも、

それらすべての悶絶するほどの苦しみを「好き」に変換してしまっているのだ。

 

なぜそんなことができるのだろう。

 

もともと漫画の好き度が異常だから、売れっ子漫画家になったのか。

苦しみの向こう側を何度も経験するうちに、漫画をもっと愛せるようになったのか。

 

たぶん、その両方なのだろう。

 

私ごとに話をスライドさせると、まだまだコピーが好きで好きで

仕方がないレベルには到達していない。

でも、好きな瞬間はこの7年で確実に増えてきた。

 

東村アキコが恩師に言われた言葉が胸を打つ。「描け、描け、描け」。

そう、書くしかないんだ!

書いて、書いて、書いて。言葉を味方につけてやる!

 

 

物欲を満たして創作意欲を失くすなよ

 

社会人も5年、7年、10年と年数を積み重ねていくと、

おのずと年収も増えていくわけで、

そうなってくると、ランチは1000円越えも余裕だし、飲みの回数も増やせるし、

服だってワンランク上のブランドを買えるようになる。

さらに、ちょっと家賃の高いところへの引っ越しもかなえて、

部屋には2、3万するお気に入りのキャラクターのフィギュアや、

6、7万する新進気鋭のアーティストの絵なんかも飾って、

ソファーも20万以上のものをボーナスでゲット。

部屋はいい感じにえせポートランド風。

毎日、仕事を終え家に帰ると、間接照明をつけ、

マツコの深夜番組を観ながら軽く一杯、

満足感にひたって一日を終える。

 

以上は、完全な妄想だが、

クリエイターとか名乗っているやつらに限って、

仕事から帰ったらなにもしないで

そんな一日を過ごしているように思う。

少しいいものを手に入れて物欲をみたすと、

ひとは創作欲をなくしてくんだと思うのだ。

 

 

クリエイターと名乗るからには、

仕事から離れてもクリエイターでいてほしいじゃないか。

どんなに無駄なものでも、稚拙なものでも、

考えることに、つくることに意義があると思うのだ。

 

ダウンタウンの松ちゃんがいってたっけ、“創るやつが一番偉いんだ”と。

収入が増えても、家族をもったとしても、何歳になっても、

その気持ちだけは捨てたくない。

自分を戒めるためにも書きました。