いい日もわるい日も、幸せな一日だ

ワンランク上のおっさんをめざす、アラサーコピーライターの日記

渋谷に向かう母と娘。

 

渋谷に向かう電車の中。日差しは出ているけれど、

風が強くて体の芯から冷える週末の午後。

途中の駅から乗車してきて隣に座ったのは、40代前半と見受けられる母と、中

学生くらいの女の子。娘の方は、都会のいまどきの女の子らしく、

キャメルのショートコートにスカート。ロングブーツの出で立ち。

足の長い女の子。身体つきだけ見れば、それはもう立派な大人の女性なのだけれど、

顔つきは幼さをまだまだ残している。

 

 

母と子のやり取りから見受けるに中学生の女の子はお母さんが大好きみたいだ。

いっぱいいっぱい話しかけている。でも、母の反応は今ひとつ。

「そうだね」とつぶやくか、うなずくぐらいの反応。

機嫌が悪いのかな。それとも疲れているのだろうか。

母の反応がいまいちなせいか、

中学生の女の子はショルダーバックから文庫本を取り出す。

しばし、二人に沈黙が流れ始めた。

 


あとひと駅で渋谷というところで、「はあ」。という母の深い溜息。

「え!?」と、びっくりしたように、中学生の女の子が母を凝視する。

「どうしたの?」という投げかけにも母親は何も答えない。

うなだれる女の子。肩まである真っ黒い髪の毛が顔を覆い隠す。

 


「渋谷、渋谷」という車内アナウンス。

母は「いくわよ」という声もなく先に立ち上がる。

そして、後を追うように中学生の女の子も電車を降りていった。